日本都市学会 日本都市学会事務局
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東洋大学社会学部 西野淑美研究室内
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日本都市学会大会 第71回大会開催案内


■ 第71回大会を宮城県石巻市で開催します。

概要は以下のとおりです。詳細は、こちらの大会案内(PDFファイル)または、
大会HPでご確認ください。

大会の詳細プログラム及び要旨集は、こちらの大会要旨集または、大会HPでご確認ください。

1.開催概要
 開催日:2024年10月25日(金)〜10月27日(日)
 開催地:宮城県石巻市
 主催:日本都市学会・東北都市学会
 後援:石巻市、石巻専修大学、三陸河北新報社(石巻かほく)
 会場:石巻魚市場(石巻駅前からバス送迎有)


2.大会テーマ
 「災害と文明―Rebornと希望―」

3.スケジュール(最新情報は大会ホームページでご確認ください)
 【10月25日(金)】
 13:30〜17:30 エクスカーション(13:30 石巻駅前集合) ガイド:松村 豪太氏(他1名予定)
 石巻市震災遺構門脇小学校、White Deer (Oshika)、サン・ファン館
 ※天候により変更有
 ※参加費3,000円(バス代、入場料、軽食代含)、30名程度(申込順)
 18:00 〜 理事会 会場:三陸河北新報社会議室

 【10月26日(土)】
 9:00〜12:00 研究発表I@石巻魚市場・会議室
 13:00〜16:50 大会挨拶/シンポジウム@石巻魚市場・見学研修室
 13:00〜13:10 開会挨拶 日本都市学会会長 山崎 健
                東北都市学会会長 松村 茂
 13:10 歓迎挨拶 石巻市長 齋藤 正美 氏
 13:15〜16:30 シンポジウム「災害と文明―Rebornと希望―」
     司会進行 中山愛子(石巻専修大学・会員)
 13:15 基調講演(~14:15)
     慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)館長 平川 新 氏
 14:25 パネルディスカッション(~16:50)
     コーディネーター 東北都市学会石巻支部会会長 佐々木 万亀夫氏
     パネリスト
      平川 新 氏(慶長使節船ミュージアム(サン・ファン館)館長・会員)
      亀山 紘 氏(前石巻市長・会員)
      松村 豪太 氏(一般社団法人ISHINOMAKI2.0 代表理事・会員)
      渡辺 享子 氏(合同会社巻組 代表社員・非会員)
 17:00〜17:30 日本都市学会賞授与式@石巻魚市場・見学研修室
 17:30〜18:00 日本都市学会総会@石巻魚市場・見学研修室
 18:30〜20:30 懇親会(斎太郎食堂(石巻魚市場内)) 懇親会費6,000円

 【10月27日(日)】
 9:00〜12:00 研究発表II@石巻魚市場・会議室
 13:00~15:00 特別セッション 「避難と帰還のあいだ」@石巻魚市場・会議室
         後援:東日本大震災・原子力災害伝承館
 話題提供者
  山田 修司氏(東日本大震災・原子力災害伝承館・会員)
  杉安 和也氏(岩手県立大学・非会員)
  松永 妃都美氏(長崎大学原爆後障害医療研究所・非会員)
 コメント
  静間 健人氏(東日本大震災・原子力災害伝承館・会員)

4.研究発表の申込
(1)申込資格
 発表申込者は会員(入会手続き中のものを含む)に限ります。共同発表の場合、共同発表者全員の 氏名、所属を明記するとともに、口頭発表者(1名のみ)に○印をつけてください。口頭発表は1人1回 限りとします。なお、発表申込後の共同発表者の変更は認められません。また、共同発表者の中に   非会員が含まれていても構いませんが、『日本都市学会年報』に投稿される際には、著者全員が会員である必要があります。

(2)申込方法
 研究発表を希望される方は、以下のURLにアクセスし、必要事項を入力してお申し込みください。  発表申込の締切は9月1日(日)[期限厳守]とします。また、大会参加申込は別になりますので、ご注意下さい(以下、「5.大会参加申込」を参照下さい)。
 入力フォームにある「大会テーマ分科会」とは大会テーマに関連を持つ発表を集めた分科会、「自由 テーマ分科会」とはそれ以外の分科会です。なお、申込みが少ないなどの理由で大会テーマ分科会が成立しなかった場合は、大会テーマ分科会に申し込まれた方も自由テーマ分科会に割り振らせていただくことをご承知おきください。また、発表日時については、分科会を構成する都合上、希望はお受けできませんのでご了承ください。プログラムが確定しましたら、大会HPでご連絡いたします。

発表申込:https://forms.gle/xT31iPZh9Gkw3vst8

(3)発表要旨の提出
 発表要旨のワードファイルとPDF ファイルを電子メールに添付し、件名を「石巻大会要旨(ご氏名)」 として、nihontohoku.ishinomaki2024@gmail.com にお送り下さい。

発表要旨書式は、こちらからダウンロードしたものを使用ください(2頁以内で作成下さい)。

(4)発表申込・発表要旨の確認
 研究発表の申込や発表要旨の提出をした場合、担当者から受信確認のメールを送りますので、必ず ご確認ください。3日以上経っても受信確認メールが届かない場合は、送信先にお問い合わせください。

5.大会参加申込
 研究発表をしない方も、シンポジウムやエクスカーションに参加される方は、以下のURLにアクセスし、必要事項を入力してお申し込みください。
 申込締切は9月29日(日)です
 大会参加申込:https://urbanology-ishinomaki2.peatix.com/
 ※Peatix等によるオンライン申込・決済・領収証発行を基本とします。
 ※チケットの購入間違いにご注意ください

6.大会に関する問い合わせ先
 〒577-8502 東大阪市小若江 3-4-1 G-6C 近畿大学総合社会学部 松本行真研究室内 
 東北都市学会事務局 メール:nihontohoku.ishinomaki2024@gmail.com
 ※件名を「石巻大会問い合わせ(ご氏名)」としてください。

7.宿泊案内
 石巻市内には宿泊施設が大変限られておりますので、宿泊施設については各自で早急に予約して いただくことをお勧めします。

8.会場までのアクセス
 (1)最寄駅までのアクセス
 大会会場の最寄駅は仙石線・石巻駅になります。最寄駅までのアクセスは、以下の経路を参考にして ください。

 電車
  仙台駅―(仙石線)―石巻駅
 高速バス
  東京駅―(JRバス)―仙台駅―(ミヤコーバス)―石巻駅
 自家用車
  東京―(東北道)―仙台南I.C―(仙台南部道・三陸道)―石巻河南I.C―石巻市
  青森―(東北道)―古川I.C―(国道108号)―石巻市
 飛行機
  仙台空港―(仙台空港アクセス線)―仙台駅―(仙石線)―石巻駅
  仙台空港―(仙台南部道・三陸道)―石巻河南I.C―石巻市

(2)最寄駅から会場までのアクセス
 石巻駅から会場の石巻魚市場までは、タクシー、もしくは日本都市学会専用の送迎バス(大会参加費に含まれます)をご利用下さい。送迎バスは便数に限りがございます。送迎バスをご利用になる場合は お乗り遅れのないようにご注意ください。なお、下記の運行スケジュールは予定です。正確な運行情報やバス乗り場等の情報は大会HPに掲載します。バスをご利用予定の方は必ず大会HPをご確認ください

 【運行スケジュール(予定)】
 10月26日(土)
  石巻駅前発 8:00、8:30、9:00、12:30、13:00、18:15、18:45、20:45
  魚市場発 8:15、8:45、12:15、12:45、18:00、18:30、20:30、21:00
 10月27日(日)
  石巻駅前発 8:00、8:30、9:00、12:55、13:25
  魚市場発 8:15、8:45、12:40、13:10、13:40、15:10、15:40、16:10

9.大会テーマ解題
大会テーマ:災害と文明―Rebornと希望―
日本都市学会会長 山崎 健
東北都市学会会長 松村 茂
 
 未曽有の大震災から、はや13年の歳月が流れた。2011年に発生した東日本大震災では、地震の規模は観測史上最大となるマグニチュード9.0を記録し、沿岸部には波高10mを超える津波が押し寄せ、その浸水範囲は山手線の内側の面積の9倍にあたる561km2に及んだ。また、この津波により深刻な原子力災害が引き起こされ、2023年現在、福島県内の7市町村に帰還困難区域が残されているなど、その影響は現在もなお続いている。
 東日本大震災では東北地方を中心に多くの地域が直接的・間接的に被害を受けたが、被害の大半は宮城・岩手・福島の三県に集中している。とりわけ震源からもっとも近かった宮城県が最大の被害を受けたが、その宮城県のなかでも、今回大会を開催する石巻市の被害は突出していた。市内では震度6強の揺れを観測し、鮎川は波高8.6mを超える津波に襲われた。死者・行方不明者は石巻市だけで宮城県 全体の三割強を占めている。しかし、東日本大震災で一番大きな被害を受けた石巻市は、そこからもっとも劇的な復興を遂げた街でもある。
 「最大の被災都市から世界の復興モデル都市石巻を目指して」を掲げて策定された「石巻市震災復興基本計画」にしたがって、被災者支援はもとより、市の基幹産業である水産業や水産加工業をはじめと する産業再生、防潮堤の建設、インフラの復旧、防災集団移転の推進、教育や文化財の復旧などの取り組みが進められてきた。しかし、こうした復興は単に「以前の状態に戻す」という以上のものを含んでいた。2015年にすべての施設の供用が再開された石巻魚市場はそれを象徴している。再建にあたっては高度衛生管理にも対応した閉鎖式水揚棟が採用され、震災前にすでに東洋一と言われていた654mの水揚棟は875.47mに延長された。この水揚棟は2021年に「最も長い魚市場」としてギネス世界記録にも認定されている。
 こうしたハード面での復興に加え、ソフト面での取り組みにおいても石巻市は大きな注目を集めてきた。そのひとつが、災害ボランティアのモデルケースとなったことである。石巻市では発災から一年間で延べ28万人近いボランティアを受け入れてきたが、これだけの数のボランティアを支援が均等にいきわたる ように動員することは容易ではない。石巻市では、ボランティア団体が自発的に、活動を調整するための合議体である「NPO・NGO連絡調整会議」を組織し、最盛期には100を超えるボランティア団体の活動を調整した。また、個人ボランティアの窓口となっていた社会福祉協議会や自衛隊との協力関係を構築することで、より効率的な支援を可能にしていった。さらに、この活動に当初から場所を提供したのが、地域で30年を超える歴史を持つ石巻専修大学だったことも重要である。このように、ボランティア団体、市、国、大学が地域で連携する仕組みが構築されていったのである。この仕組みは、現在では「石巻モデル」として知られている。
 ISHINOMAKI2.0も、石巻市の名を全国に知らしめた活動だ。復興支援のために集まった支援者と地元の若い有志たちとの出会いによって始まったこの活動は、震災直後の2011年5月に発足し、翌年2月からは一般社団法人として活動してきた。「世界で一番面白い街を作ろう」をコンセプトに掲げ、震災後に加速した旧市街の空洞化対策、移住者支援、子どもたちへ石巻を伝える「いしのまき学校」、環境省の「みちのく潮風トレイル」の支援など様々な取り組みを行っている。復興支援団体は数多く存在するが、復興の枠を大きく超えて、未来の石巻市に向けた街づくりや人づくりを志向していること、外側から石巻へやってきた人々と地元出身者がゆるやかに結びついて新しい石巻市を創ろうとしているところなどが、街づくりの新しいモデルとして注目されている。
 また、観光振興においてもユニークな取り組みが継続されてきた。たとえば、2013年に復興支援を目的として開始された自転車イベントであるツール・ド・東北である。このイベントはいわゆる自転車レースではなく、ファンライド(競争ではなく楽しく自転車に乗ること)のイベントであり、それぞれの走力に見合ったコースにエントリーすることで、復興状況をつぶさに見ながら「震災の記憶を未来に残していくこと」を目的としている。なお、ツール・ド・東北は昨年(2023年)の第10回記念大会の開催を機に一般社団法人を設立している。
 2017年にのべ26万人を動員して話題となったReborn-Art Festivalも、観光振興におけるユニークな取り組みとして挙げることが出来るだろう。このイベントは、石巻市を中心に牡鹿半島や松島湾などの 広い地域全体を会場とみなしてアート作品を展示するという、非常にユニークなイベントであり、2017年の初開催時は51日間にわたり開催された。以来、コロナ禍による中断をはさみながらも、2019年、2021-22年と三回にわたって実施されてきた。その展示物の一部は現在も残されており、今大会のエクスカーションでも紹介する。
 このように、東日本大震災は石巻市に大きな爪痕を残した一方で、そこから再生するための大きな活力ももたらしている。今大会は副題に「Rebornと希望」という言葉を掲げているが、私たちは、いままさに 震災からの再生による新しい希望を目撃しているのかも知れない。しかし、それはただの再生ではない。それはある意味では、人々の生き方や都市のあり方、ひいては我々の文明のあり方そのものを変えてしまうかも知れない再生である。
 1755年に発生したリスボン地震がその後の文明のあり方を変え、近代の出発点ともなったと評されたように、東日本大震災もまた、我々に新しい見方をもたらした。SDGsやサステイナビリティ、復旧と復興の違いなど、様々な議論が喚起され、模索されてきた。この新しい見方が、我々の文明をどう変えていくかは未知であるが、その変化の兆しの少なくとも一端はここ石巻市にあるように思われる。今大会での検討を通じて、その可能性が示されることを期待するものである。